コータスのSライン
構築記事を徘徊しているとよく最遅調整を見かけるコータス。私自身、前世代までは20族付近に競合相手が少なかったことから26コータスというものを提唱していましたが、八世代では状況が変わってきたと思うので改めて考察し直してみました。
まず、そもそものSを落とすメリットとして、
①両刀(自爆採用等)の場合、下降補正を不要なSに回すことができる。
②脱出パック採用時、できるだけ相手の技を先攻で受けてから後攻脱出した方が脱出先を安全に出すことが出来る。
③対ギガイアス時、最遅の実数値である27より下げることで初手で確実に天候を取ることが出来る(実際に天候を取ることより、こちらは初手コータスが出来るという選択肢が増えることによる精神的メリットが大きい)
があり、その他にもトリルパへの抵抗力を上げる、僅かながら相手のジャイロボールの威力を下げる、など前世代のようにSを落とすデメリットが存在しなければ細かい利点が多いためSは下げ得といえます。
しかし八世代においては、Sを下げてしまうことによって大きな弊害となり得るあるポケモンが激増しました。
それは鈍いカビゴンです。今作ではその個体数から鈍いを積んだ状態のカビゴンとこちらのコータスが対面することがままあり、そんな時は試合後半でコータスが削れていることも多く、こちらとしては何としても欠伸を入れて裏に繋ぎたいものです。
一般的な鈍いを積んだカビゴンのSは1積みで33~34、2積みで25であり、これに対して無振りSVコータスのSは40、下降補正がかかっていても36のため、通常であれば鈍いを積まれた時点でS関係は逆転しており一回の行動は保障されています。
しかしここを最遅調整などでS個体値を下げていた場合、むざむざ上を取る機会を逃し何も出来ず落とされるリスクを高めている訳です。
つまり、あえてSを落とすならばメリットがこのリスクに勝らなければ寧ろ逆効果であると言えます。
①に関しては、S下降の性格であっても個体値を落とさなければ実数値36は確保できるため関係ありません。
②に関しては、そもそも元々の種族値が20と低いためSを下げずとも大概の相手には後攻を取ることが出来ます。
強いて言えばコータスミラー時は下を取っていれば「お互いにステロ→欠伸を受けてから脱出」の動きが出来るのですが、脱出先がリザードンの場合はリザがステロを踏まない方が良いため、素引きか、寧ろ上から脱出が出来るようにSを振った方がいいまであるでしょう。(相手の初手行動が欠伸ならば逆効果ですが、恐らくほぼステロを撒いてきます)
③に関しては、ギガイアス入りとマッチングするよりも確実に鈍いを積んだカビゴンとマッチアップすることの方が多いため、リスクとリターンが釣り合っているとは言えません。
*6/1追記 シーズン6よりギガイアスとマッチングすることがそこそこ増えましたが、下をとっても上から落とされるのみでやはり欠伸等を入れたい場面の方が多かったため、依然あえてSを落とす必要は無いでしょう。
以上を統合すると、
Sを落とすことによる細かい利点よりも鈍いカビゴンと対面する機会の方が多いため、両刀でも脱出パックであっても個体値まで落とす必要はない
というのが私の結論です。
実際に八世代でSを落とす意味に疑問を感じながらも前世代の名残で遅いコータスを使い続けていた所、低いSが役に立った、勝敗に繋がったということはあまり無かったですが、終盤に出てきた鈍いカビゴンに欠伸を入れられずボコられたことは数回あったため、ようやくこの記事を書くに至った次第です。
勿論この意見には個人の体験で感じ方が異なってくる部分もあると思うので、逆に最遅が役立った等の意見があれば是非教えてください。
・おまけ
役に立つかわからないS実数値22~40の激戦区表
40:無振りコータス
35:無振りバチンウニ
34:鈍い1積み4振りカビゴン、最遅ドータクン(トリル、ジャイロ採用)
33:鈍い1積み無振りカビゴン
31:最遅ハガネール(ジャイロ採用)
30:最遅ブリムオン
27:最遅ギガイアス
25:鈍い2積み無振り・4振りカビゴン、無振りツボツボ、無振りナマコブシ
22:最遅コータス、最遅ナットレイ、最遅ヨクバリス(ジャイロ採用)